宇津トンネル  旧国道113号線

09.11.01     ■ 地図

 

 

 

一晩中走り続け夜明けを待つ

旧道入り口には進入を制限されるような物は一切ない

現国道113号線分岐より中途半端に広い幅員でアスファルトが奥へ奥へと伸びている

よく見ないとわからないような端っこに『宇津峠入り口』の案内看板があるだけだ

 


 

 

 

綺麗で緩やかな勾配を登って行くと幅員はさらに広くなる が

二車線十分な幅にもかかわらずセンターラインはなく 人為的なものなのかガードレールも所々支柱からはずれており

何とも奇妙な空間と言う感じ

その後すぐに分岐があらわれる 広い方が旧国道113で右に伸びる細道が峠道へと続いてゆく

まずは旧国道方面へと進む

 


 

 

 

路肩にはガードレールがあり この先にトンネルがある事を知らせる標識が確認できる

徐々に草木に覆われて行く

 


 

 

奥へ進むにつれて植物が猛威をふるっており

あれだけあった幅員も今ではわずかにアスファルトが顔を覗かせているだけとなる そしてさらに奥は・・・

『藪』 これ以上の前進は無理

全ては土砂とかるく背丈を超える草木で埋め尽くされ 道としての生命は経たれていた

通行不能

一旦分岐まで戻り峠道からの進入を試みる

 


 

 

 

幅員は完全1車線とショボイ

旧国道113号線方面を気にしながら峠道を行くと斜め下にガードレールが確認でき

先ほど藪に埋もれて自然に還ったと思われていた旧道が姿を現した

埋もれていたのは最初の一部分だけだったようだ

さて旧国道へとつながる道を探す

 


 

 

また分岐が現れる

直進すればゲート付きショボダート

ゲートは施錠されておらず開閉は自在であるが一応 『関係者以外立ち入り禁止』 となっている

この峠道は旧国道113号線以前1967年(S42)に旧トンネルが完成するまで使われていた峠越えルートだと言う

そして左へ下る道へと近づいたその時 それは突然現れた

 


 

 

眼下に広がる光景に言葉を失い全身鳥肌となった

植物に覆われている部分はあるものの大きな破損もなくほぼ完全な状態

しかし今では電光掲示版の灯りは消えここは完全なる廃道であり車はおろか人もいるはずもなく

全ては忘れ去られた空間

現道からも そこそこ離れているので静寂そのものだ

エンジンを止め 山の声に耳をかたむけていると時を越え遠く向こうから車達のエンジン音がガヤガヤと聞えてくるようだ

 


 

 

舞い降りてみるとそこは橋のたもとで路肩に残された表示板に『宇津橋』とある

人為的によるものなのか向って右片側のガードレールがパイプ付け根から無くなっている

もしも転落すれば自力での生還は難しいレベルの深い谷になっている

完全二車線規格の橋を渡りきったあたりに電光表示版とさらにその先には『トンネル内通行注意』 の看板がある

 


 

 

橋を渡るとすぐにそれは現れた

 


 

 

ゆっくりと進む

 


 

 

旧宇津トンネル

 

1967年(S42年)竣工   延長949m   巾5.5m   高さ4.5m

 

新トンネルが1992年(H4)完成するまでの25年間利用された

現在では地図上からも抹消されている

 


 

 

感度を上げて撮影すると沢山の照明機材が残されていた

歩道こそないが大型同士の離合可能な幅員、高さを有してはいる

新トンネルと比べると少し性能は劣るものの莫大な工費を費やしてたった25年間しか利用されず

早々に地図上からの抹消など 年代的にも通行困難以外に何か他の理由も見え隠れするところです

一旦現道113号に出て反対側を覗いてみる事にする

 


 

 

 

やはりこちらにも看板など全てがそのまま放置されている

トンネルが封鎖され完貫き出来ない今では 当然この看板に意味など何もない

 


 

 

 

全てが廃止され 誰からも何も求められてはいない

コントロールパネルに備え付けられていた受話器を手に取り 耳に近づけると

・・・   風の音がした  

 他には何も・・・

 


 

 

こちらも同じ仕様で封鎖されていた

これから先どうなって行くのかは言うまでもなく

少しづつ自然に還って逝くのであろう

 

 

 
 
TOP     BACK