スパイクタイヤ製作

 

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冬季は関東近県の山でも凍結路が付きものでして

とくに林道や廃道では当然状態は悪く身の危険を感じる事もしばしば

で今回は冬の北海道が相手でして、『どうにかなるだろう』 などと簡単にはいかない

1日を通して日中でも氷点下であったり、夜間には-20度を超える 極寒ともなり 道路状態も厳しいものとなります

だからと言って全線白銀の世界と言う訳でもなく ドライ、積雪、圧雪、凍結とさまざまなシーンが想定されます

目まぐるしく変化する路面状態を少しでも安全に走行するにあたって現地タイヤショップ、ライダーさんとも再三にわたり相談をしてきた結果

どうしてもスパイクタイヤが必要不可欠との結論となり製作する事となりました

これからご紹介する製作方法は現地ショップ、ライダーさんの御意見を参考に私どものスパイスを加えたものとなっております

 

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これ(左写)が今回製作したスパイクタイヤ完成品です

 

ベースタイヤ    : ダンロップK180  フロント 130/80-18  リヤ 180/80-14

ピン         : チップピン  フロント 6.5×8  324本   リヤ 6.5×10 324本

 

 

 

用意した物は スタッドピン、ガン、ドリル刃です。 この他に高速ドリル、エアコンプレッサーが必要になります

ピンもやはり入手しずらい部品ですので紛失や破損を想定して少し多めに用意する事をおススメします

ドリル刃先端はグラインダーでエンドミルタイプに削りました  ホルダー挿入側もある程度カットし穴あけ作業に必要な長さだけ出すように加工しています

これによりドリルストッパーが不要となります。 ドリル刃径(下穴)はピン径よりも小さなものにします そうする事により締りが良く落ち着きハードランでの抜けが軽減されます

しかし 下穴をあまり狭くしすぎると打ち込み時、穴周辺に亀裂が入り逆効果のおそれもありますので数種類の試し打ちをおすすめします

それからゴム(タイヤ)に打ち込みますので寒い時期のカチコチ状態は避けた方が良いでしよう。 打ち込み時は暖めて柔らかい状態がベスト

 

さてさて スタッドピンの説明をしたいと思います

上の左写真が今回使用したチップピン(ノーマルピンやオッパイピンとも言う)フランジ径6.5㎜×8㎜、10㎜です

フランジの形状はシングルとマルチの二種類が一般的で、ハードな走りにはやはりマルチフランジを使用する事で抜けを軽減させる事ができるようです。

マルチフランジの形状には写真で挙げたタイプ以外にも色々な物がありますし、スタッドガンを使用しない下穴不要のドリルタイプもあります

さらにこうした金属を使わない樹脂タイプがありますが、あまり一般的ではないようです

チップ部はタングステンなどの超硬材料を使用してシャンクから1㎜ほど突き出ており この1㎜ほど突き出た部分がタイヤから露出するように打ち込みます

シャンク、フランジ部はスチールやアルミと言った部材があります この部分はタイヤのゴムの中に埋もれてしまう部分です

上右写真は打ち込み時にたまたま分離したもので、通常シャンクとチップはロウ付けされおり簡単に分離するものではありません。

 

全長 

フランジ径

シャンク径

各サイズ表示は

左写の部分を表します

 

 

← 露出しているチップ部を除いた部分がタイヤに埋め込む長さです

   

   例えばピン長10㎜なら 実際タイヤに埋め込まれる長さは約9㎜と言う事になります 

 ピンの種類はこの他にマカロニピン、カップピンなどがあり、それぞれ特性が違います

私どもで出来うる限り各国調査いたしましたがフランジ径6.5㎜タイプにはチップピンのみでした

似たようなもので7㎜フランジ×7.5長が WinterStud.com (アメリカ)にIN STOCKとされていますが 現在廃盤(2009.5調査)となっています

もしこのような多少のサイズ違い物でも入手出来るのなら少々忍耐が必要ですが旋盤などで切削加工しても良いかと思います(笑)  なぜなら現地買い(個人輸入)した場合

とにかく低価格なのです。1000個で1万円前後(1個あたり約10円)から販売されており輸入代行業者を利用し各手数料、送料等を加算したとしても1万5千円程度と破格です

日本国内ショップでは1個100円前後(1000個で10万円)が相場ですので、もし海外物で在庫が確認できるのでしたら手間暇かけても満足できる買い物と言えると思います

それとベースタイヤの関係で短いピン長(10㎜未満)が必要な場合は選択幅がかなり限られてしまいますのでさらに入手困難となります

 

 

 

つづいてガンの紹介

 

モデル : OKU (ドイツ) EPK 6.5

マルチフランジ対応(シングル可)

適正エアー圧 4~6キロ

あまり高圧で打ち込むとガンの破損のおそれやピンが真っ直ぐ落ち着かない場合があります

減圧弁で空気圧の調整が必要

また ガンには対応できるフランジ径が決まっているので使用するピンにあったガンをそれぞれ用意する必要があります

対応外のピンでガンに挿入できたとしても内部でカジリ等で破損の恐れがありますので止めておいたほうが良いでしょう

 

ガンも高額で入手困難ですので取り扱いは慎重にしたいものです

 

    

大量な本数(前後で648本)を打つので下準備が必要です  マジックなどでマーキングする事で綺麗に効率よく作業できます

打ち込みパターンはタイヤを回転させた時に線が沢山でたほうが良いとの事で 1ブロックに複数個打ち込む場合は直線状ではなくあえて斜めにしてみました

下穴を開けるときも角度に気を付けることが肝心です  曲がった穴にはピンも同じ様に曲がって挿入されてしまいます

 

 

 ガンにピンをセットし先端を下穴の奥まで突き刺し(左写)ピンを発射させます するとガンの先端が開き下穴を広げながらピンが打ち込まれ(中央写)下穴にセットされます

セットされたピンをハンマーで叩き据わりを良くします

 

最後は実際に100㎞ほど慣らし走行をします  これによりさらに据わりを良くし抜けを軽減させる事ができます

ドライでのアスファルト走行ではピンが触れなくなるほど加熱しますので様子を見ながらすると良いでしょう

 

 

 

注意 : 公道でのスパイクタイヤ使用にあたっては法律・条例による使用規制がされています

      スパイクタイヤ粉じん指定地域

 

 


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