万世大路(ばんせいたいろ) 第三話

07.05.27     ■ 地図

 

 

 

相棒をここで待たせて徒歩での探索

目的の物件まで この先何キロあるか分からない  徒歩でも行けないかもしれないと言う不安

よし!行ける所まで行こう と つぶやき歩き始める

 


 

 

獣道を突き進んで行くと草木のない広場が現れた

近づいてみると

コンクリート?  橋   橋だ

 


 

 

 

大平橋  長さ23m 幅6m(Web調査)

 

名前や竣工日などの表記はない

橋の前後は獣道で道と言う道はない まるでジャングルだ

 


 

 

橋から一歩でも離れれば 御覧のとおり湿地帯のまさにジャングル

辺りからは聞いた事のない生物達の鳴き声が大音量で絶え間なく聴こえてくる

所々沼地があり運動靴では厳しい 長靴が必要  だが バイクに置いてきてしまい 靴の中はグチョグチョだ

途中で 「本当にこのコースで良いのだろうか?」と不安になってくる

昔 バスやトラックが駆け抜けていた事を想像するのは難しい

と  また橋が現れた

 


 

 

 

杭甲橋  長さ12m 幅6m(Web調査)

 

やはりプレートなど一切無い

ここで小休止

虫や草にモミクチャにされ疲れた体を休ませるには丁度良い場所だ

なにせ橋の上以外は休憩などとれる場所はない 腰を下ろす事も出来ず 立ち止まれば虫が群がってくる

 

さて  先へ行こう

 


 

 

ジャングルを歩くこと30分

足元に気をとられ 周りを良く観察していない自分に気付くが足場の悪さと慣れない山歩きに疲れ余裕がない

とにかく歩こう 先へ行こう  と・・・

そして何気なく見上げた先には   な  なんと  石垣が!

人力のみで積み上げられた石垣  隙間からは草や木が生えている

石垣発見の興奮と同時に この先にヤツがいると確信した

そして歩き続ける事しばらく

 


 

 

奥から何か見えてきた   写真中央部

  

隧道だ!!!

 


 

 

さらに近づいてみる

胸がドキドキしてくる   分かるだろうか この気持ち

待ちこがれた恋人とやっと会えたような気分だ

 


 

 

栗子隧道(くりこずいどう) 延長870m

 

現在の姿は昭和11年に車道隧道として改良された物です

 



 

この栗子隧道の開削工事は、立ちはだかる固い岩盤に困難を極めました

明治13年10月19日に貫通、当時日本で最長のトンネル(約870m)で 当時としては驚くべき長さにもかかわらず

東西から掘削された隧道は少しもずれることなく合わさり、測量と設計技術の高さを証明する工事ともなった

しかし、昭和41年に現・栗子バイパスが完成し、長期に渡り活躍した「栗子隧道」はその役割を終えた

そして昭和46年に中央部で大崩落し隧道としての生命も絶たれてしまった

 


 

 

内部は全面に水が満ちている  その水は透明度が高く 非常に綺麗で手ですくい上げて口にしたいくらいだ

この栗子隧道は地図上からも抹消されている

この先ずっとここで老いた姿で風雪に耐え たまに来る我々マニアに過去の栄光と自慢話を語り続け

そしていつの日か完全に自然にかえってしまうのでしょう

 

 

おわり

 

 

 
 
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